病気で脳に障害を負った。

 

でもすぐに元通りになると信じていた。

 

できなかった。

 

出来ない理由が分からなかった。

 

仕事ができなかった印象がとても強い。

 

だが仕事以外にも出来ない事は沢山あった。

 

お使いすら満足にできない。近所への外出すら不安な状態。

 

出かけたら二度と家に返ってこれないかもしれない。

 

そう心配されていた。家族がフォローしてくれた。

 

私は行動を止めなかった。

 

失敗への恐怖心がなかった。

 

自分は元通りに何でもできると信じていた。

 

止まる事こそが最悪の失敗だと信じていた。

 

でも、できなかった。

 

出来ない理由が分からない。

 

だから出来るようになるまでやり続けようとした。

 

自分ならできるはずだ。

 

何時だって、どんな壁だって努力で乗り越えてきた。

 

成功体験をさんざん積んできた。

 

こんな障害も必ず壁を乗り越えられるはずだ。

 

周囲に強く止められた。また倒れてしまうから。

 

再び倒れたら次はない。

 

でも止めなかった。

 

「出来ないのなら生きる価値はない」

 

言い切った。

 

家族は泣いた。

 

失敗を繰り返すとともに、自分はダメになったのだと理解した。

 

仕事をするのが怖い。

 

失敗したらどうしよう。

 

そんな恐怖心に襲われる。

 

吐き気との闘い。

 

とんでもない疲労感。

 

記憶障害のハンデ。

 

人よりも何十倍も時間がかかる。

 

何をしてたのか分からなくなる。

 

同じことを繰り返す。

 

何度も。何度も。何度も。何度も…。

 

だが頑張るほどに記憶力が無くなっていく。

 

悲しすぎる障害。

 

努力を重ねても結果が得られない。

 

次々と失敗に襲われる。

 

自分の人生に無かった経験。

 

これほど沢山の失敗をしたことが無い。

 

私が失敗するなんてありえない。あってはならない。

 

周りにダメになったと思われる。最悪だ。

 

自分で自分が許せなかった。

 

だから限界を超えて挑戦し続けた。

 

家族を泣かせながら。

 

やがて

 

少しずつできることが増えた。

 

脳がゆっくりと回復した。

 

沢山無理をしたから?

 

ちがう。

 

線を引くようにしたからだと思う。

 

「勇気をもって終わりにする。」

 

ある人から、かけられた私の心の支えの言葉。

 

無限に作業をし続けるのは強い恐怖心からだ。

 

だから作業を止めるには強い勇気が必要だ。

 

作業を止めないのは心が負けているから。

 

心を強く持って作業を時間で区切るように心がけた。

 

少しずつ状況が良くなり始めた。

 

少しずつ前進した。

 

目標は病前の自分。

 

昔の元気なころの自分は大きな壁だ。

 

だが昔の自分を乗り越えるのが私の目標だ。

 

勝ち負けではないと思うけれど絶対に勝ちたい。

 

そのためにはどうすればいい?

 

そのためには自分に負けないよう心掛けることだ。

 

  • 時間を決めて行動する。
  • 過去ではなく未来を見る。
  • 目標を定める。
  • 目標を達成するための道筋を区切る。
  • 心は穏やかに。
  • 息抜きと休憩はとても大事。
  • 休憩ができない限りは昔の自分には追い付けない。

 

そして体力。体力づくりも忘れてはならない。

 

全ての基本。

 

どんなに脳を鍛えようとしても、体力が無いと脳機能は支えきれない。良い方向に進まない。

 

だから体力。絶対体力。

 

疲れにくい体があるからこそ脳機能は正常に働く。

 

注意力も記憶力も遂行機能もすべては体力から。

 

脳に新鮮な酸素を送ろう。

 

易疲労、記憶障害、注意障害、感情失禁、遂行機能障害

 

全部乗り切った。…と思う。最近は妻も何も言わくなった。

 

乗り切る秘訣は散歩。

 

心穏やかに。

 

最初のうちは心と体。両方ともに辛いと思う。

 

でもだんだん慣れてくる。

 

ゆっくりと静かな道を歩こう。

 

それが高次脳機能障害克服に繋がる第一歩。

 

そして妻のアドバイスは全面的に受け入れること。

 

正しいのは自分の考えではなく妻の言葉だ。