大学病院入院中に味わった屈辱の毎日「きっと良くなりますよ」

私がインフルエンザ脳症で搬送された病院はハイレベルな大学病院です。

 

近所にあったおかげで運よくその病院で治療を受けられました。大感謝です。私は運が良かったです!

 

でも入院中どうしても嫌だったことが一つだけありました。

 

それは検査でも治療の内容でもありません。私の治療に全く関係のない事です。しかし、そのせいで入院中は心が休まる日がなくなる有様。ちょっとノイローゼになりそうな毎日を過ごすはめに…。心への大きな負担になっていました。

 

毎朝8:00にやってくる恐怖

私が入院した大学病院では毎朝、医師・教授・研修生たちによる巡回がありました。

 

この毎朝の巡回が大きな負担となっていたのです。

 

毎朝することは決まっています。様子の確認といくつかの質問。質問の内容は毎回同じです。

 

教授と学生の朝の巡回研修

 

(*´ω`)「どうですか?」

 

(*´ω`)「昨日の夕食は何を食べましたか?」

 

(*´ω`)「きっとよくなりますよ」

 

ゆっくりと語りかけられながら話は進みます。入院初期の私は質問に殆ど答えられませんでした。脳がやられて反応できず、ぼんやりしているだけだったと思います。

 

さらに、この時はとてもデリケートな状態です。腫れ物に触るかのように優しく丁寧に接してくれていたと思います。でも、この巡回が私に大きな不安と屈辱感を感じさせていたのです。

 

人生最大級の屈辱を毎朝味わった日々

朝の巡回の中でとても辛かった事があります。それは教授からの些細な質問でした。

 

(*´ω`)「昨日の夕食は何を食べましたか?」

 

入院中は一度もまともに答えられませんでした。

 

同行している主治医は

 

「俺も昨夜のメニューなんて答えられないけどねー。気にしなくていいよー。」

 

と、励ましてくれるのですが…。

 

私は覚えようとしているのに答えられないのです。しかも研修生達が見ている前で答えられないのです。毎日毎日。さらし者です。何たる屈辱!!

 

「聞かれるのをわかっているのならメニューを暗記すればいいじゃない。」

 

そう思いますよね?私もそう考えました。

 

「絶対に答えてやるんだ!」

 

すぐに始まりましたよ。食事メニューの暗記が。

 

記憶障害に負けるな!屈辱をバネに教授たちを見返してやれ!

大学病院の食事メニュー記録1

 

大学病院の食事メニュー記録2

 

「カツカツカツ…」

 

配膳されるとすぐにカーテンの向こうから聞こえてくる、箸が食器にあたる音。

 

その音を聞きながら「俺は負けないぞ!」と意地になって食事メモを書きました。

 

「事務的に書くよりも面白く書いたほうが覚えやすいだろう。」

 

そう考えてふざけたイメージで記録しています。でも泣きながら書いているんですよ。悔しくて。(明るくふざけて書くほどに涙が出てくるんですよね。)

 

おかげで入院中は

 

     

  • 検査
  •  

  • 食事メニューの暗記
  •  

  • 疲れて寝る

 

殆どこの3つで時間が過ぎてしまいました。気が休まるときはありません。すぐに疲れ果てて寝てしまうのですが、目が覚めるとすぐにノートに書いたメニューの確認の繰り返しでした。

 

入院記録メモは初期のころは能天気な雰囲気です。一生寝たきりになるかどうかの瀬戸際だったのですが...。

 

でも、日が進むにつれて悲しさがメモ帳に蔓延してくるんですよ...。(*´Д`)

 

朝の巡回はとても嫌でした。でも

 

「次の世代に必要な制度だから仕方がない。」

 

そう考えて黙って受け入れていました。研修生の方々はとてもまじめで優しい雰囲気でした。立派だと思います。明日の医療のために頑張ってほしい!

 

でもやっぱり嫌でしたねぇ…。入院中の大きな負担だったんです。矛盾しているけど。「頭では納得しているけど気持ちがついてきていない」ですね。