障害を克服して元の世界に戻りたい!頑張るほどに減る信用

障碍者になって以来、強く願っていることがあります。それは「障害のない部分に関しては対等に扱ってほしい」ということです。

 

私が高次脳機能障害になりたての頃は、極端にひどい記憶障害以外にも、動作が遅くなったり話す早さが遅かったりしていました。全体的に脳の処理が遅くなっていたようです。

 

退院後は時間が過ぎるとともに症状は回復していきました。と、同時にある事を強く不満に感じるようになっていきました。

 

それは、周囲から子供を相手にするような態度で接し続けられていたことです。

 

周りからすれば当然かもしれません。見えない障害ですから。本人が回復してしばらく時間が過ぎ、信用スコアが増えてから「回復してきた」と認められるのだと思います。

 

だから周囲が当人に適切な対応をし始めるまでには時間が必要なのだと思います。でも私にとってはそのタイムラグが屈辱で仕方がありませんでした。

 

中途障碍で辛い!でも負けたくない!

自分が障碍者になって気づきました。障碍者だとわかると周囲から下に見られるんですね。そう実感しました。

 

私は病気で精神障碍者にはなりました。でもそれまでは第一線で活躍していた大人。経験がありますし物事を知っています。仕事の技術力もあります。年齢に応じた考え方もするし。感情もあります。

 

だからはたから見ればボーっとしているように見えるかもしれませんが、頭の中ではいろいろと考えています。

 

  • この後の生活をどうしよう
  • 障碍を回復するにはどうすればいいのだろうか
  • そもそも回復するのだろうか
  • 感情の抑えがきかない
  • 自信が無くなった
  • 常に不安だ

 

滅茶苦茶怖いです。でもプライドもあるんです。障害に負けたくないんです。「絶対元に戻って周囲を見返してやる!」そう誓っていました。私の障害回復の原動力って意地と怒りなのかもしれません。

 

障害を持つとスタート地点がマイナスになる

そんな私に対する周囲の接し方…ネガティブなことを書きまくりますが、障害ってすっごいハンデを背負わされるんだなぁって感じました。

 

一番きつかったのが自分の主張が認めらなくなること。どんなに正論でもです。

     

  • 障碍者だから…と下に見られている
  •  

  • 障碍者ごときに間違いを指摘されたくない
  •  

  • 障碍者よりも下の立場になりたくない
  •  

  • そもそも相手にされていない

もちろん周囲の誰もが…ではありません。人によります。でも「障害を負うと、対等に見られない態度を取られるようになるんだな」と、がっかりする経験もしました。

 

だけど周囲を責め立てるわけにもいかないんですよね。やっぱり障碍者特有のミスを繰り返してきましたから。

 

私は記憶、注意、遂行機能障害だから、しょっちゅう忘れていました。目的を達成できません。何度も何度も同じことの繰り返し。そのたびに信用が引かれていったんでしょうね。

 

自分自身は早く復活したいです。元の世界に戻りたいです。「そのためには殻に閉じこもっていちゃダメ!どんどん行動しなくちゃ!」って考えていました。

 

それが全部裏目に出ていたんですよね。とにかく失敗しまくり。イオンへのお使いだって「牛乳を買ってきて」と頼まれたのに「卵を買ってきた」ですからね…。それだけ酷かったんです。

 

失敗、失敗、失敗、失敗…削れていく自信

さんざん失敗を繰り返しました。その結果とても臆病になりました。

 

自分は何をやってもダメなんだ。もう以前のようには行動できないんだ。何かをすれば必ず失敗する。また周りに迷惑をかけてしまう。だったら最初から何もしないほうがいい…。

 

このように考えたこともありました。

 

「これじゃぁ、このまま認知症になるだろうな。」
「障害で間違っているのか認知症で間違っているのか、わからなくなるだろうな。」

 

お先真っ暗です。やっぱりあきらめるわけには行きません。やるしかないのです。でもやると失敗します。

 

障害を持つ前の自分と今の自分を比較して

 

「昔はよかったな…」

 

次第にそう考えるようになりました。そのころが一番メンタルが酷かったのかなぁ…?絶望に包まれて幻覚のようなものを多く見ていたのもそのころかもしれません。

 

とにかく絶望感たっぷりでした。

 

欠けた能力だけに注目して欲しい

高次脳機能障害だけど欠けた能力以外は普通です。知能だって普通にあります。幼稚園児ではありません。大人です。

 

障害を負った本人は滅茶苦茶葛藤しています。誰も見ていないところで悔しくて悔しくて毎日泣いていました。自分がしたことのつじつまが合わないことに気が付いたときの絶望感。本当にきついです。

 

私は「自信満々で間違える」と評価されています。元々自信家だった性格が現れています。さらに「負けたくない!」という追い込みもあります。虚勢を張っていないとならないんです。そうしないと心が折れてしまいます。でも行動すると間違えてしまう。

 

障害だから間違えます。つじつまが合わないときがあります。そのたびに滅茶苦茶反省です。二度と繰り返さないように対応策を考えます。そして実行します。付箋だらけになったディスプレイだって対策の一つです。

 

でもまた間違えます。ふざけていません。命がけです。それでも間違えます。失敗を繰り返しながら脱障碍者を目指して行動した結果です。ダメになった自分を実感します。本当に悔しいですよ!

 

このような経験は私だけじゃないと思います。障害を負ってしまった方の中には、悔しさをバネにして乗り越えようとチャレンジをしまくっている人が大勢いると思います。どうか周りの人はそこをわかってあげてください。

 

本人にとっても初の試みです。成功までに時間がかかります。でも長い目で見てほしいです。多少のミスはスルーして欲しいです。

 

いちいち指摘されたら、萎縮してしまい何もできなくなります。その先に訪れるのは「無気力」「痴ほう」です。本当に何もできなくなります。そんな未来は誰だって嫌です。

 

元の世界に戻りたいです。