高次脳機能障害になって2年8か月|障害を乗り越えるための新しいステージを言語化した

「障害を負うと自己肯定感が下がる。だから引きこもりになる。」

 

ずーっと感じていることです。

 

理由は大きく二つありそうだと感じています。私自信の経験から。

 

「何をしても失敗する」と「周囲の目が厳しくなる」

 

です。

 

前者でダメな自分のメンタルを自分自身で削り、後者がとどめを刺します。内と外からの精神への同時攻撃です。

 

この攻撃に耐えられる人っているのでしょうか?

 

私は病前はかなり自己評価の高い人間でした。大抵の事は説明を受けなくてもサクサクできてしまう。そんなイメージを自分自身に抱いていました。たぶん物事の本質をとらえる力が高かったのだと思います。

 

そのため「自分は何でもできるぞ」なんて思いあがっていました。無敵状態でしたね。実際やろうと思うと出来てしまっていましたし。だからあまり努力せずにマイペースで生きてこれました。それで十分だったのです。

 

周りからの評価も高かったです。「わからないことがあったら私に聞け」そんな感じで周囲から「先生」なんて呼ばれることもありました。

 

ところが病気をした途端…

 

すべてを失いました。

 

まず自分自身が信用できなくなりました。

 

なぜかというとすべて忘れてしまうからです。忘れると失敗します。注意すべきポイントも忘れてしまいますしね。

 

なんとか以前の頃の自分を取り戻そうと頑張り続けました。でも出来ないんですよね。以前のように。

 

だから発狂状態のようになりました。大騒ぎの大パニックです。

 

それでも昔の自分を取り戻そうと挑戦し続けました。努力し続けました。でもダメでした。昔の自分には届きません。

 

最初は自分だけの問題でした。しかし自分がダメになったことが周囲に知れ渡ると、周囲からの評価が変わりました。天と地ほどの差です。まるで赤ちゃん扱い。

 

プライドがズタボロです。積み重ねてきたものがなくなってしまい、「周囲から頼られる人間から単なる足手まとい」に評価が落ちていくのが実感できました。明らかに私への態度が豹変しました。

 

悔しくてどれだけ頑張ってもできません。とても辛い状態が続きます。

 

千葉リハの診察でも「能力が落ちたのだから昔の自分はもういないのだと自覚せよ。」そう何度も告げられました。現実を受け入れないと失敗するからです。仕方のない事です。

 

わたしは劣化した自分を受け入れるために、呪文のようにつぶやき続けました

 

「昔の自分はもういない。慢心するな。油断するな。」

 

これって運転再開するための必須条件でもありました。だから自分で自分を洗脳ですよ。

 

私は、必死に自己肯定感を下げました。そして見事に下がったと考えています。

 

自己肯定感が下がってどうなったのか?

自己肯定感が下がると、恐ろしいことが沢山増えました。

 

一つ一つの行動が怖いのです。常に不安に襲われています。失敗しそうで。

 

今の自分は「何かをすると必ず失敗する。」そんな気持ちが強いですね。だから行動するのが怖い。

 

でも仕事があためそうも言っていられません。だから失敗しないように入念に準備をします。あきれ返るほど入念にです。

 

「仕事で準備は当たり前。」と思うかもしれませんが、我ながら度を越していると思います。休みの日でも休めません。心も体も常に不安感があって、ちょっとでも仕事のことを考えると、状況の確認をしてしまいます。

 

完全に仕事に憑りつかれています。楽しくてやっているわけではないです。仕事が怖くてやっているのです。今の仕事に対しては恐怖心しかありません。

 

例えていうのなら常にこの心境です↓

 

「電流鉄骨渡り」のコマ『賭博黙示録カイジ』7巻113~114ページより

 

毎日仕事を始めるたびに橋を渡り始めるようなプレッシャーを感じていたらどうなるでしょうか?メンタルボロボロになりますね。本当にボロボロですよ。

 

格好の良い言い方をすれば「障害と闘っている」になるかもしれません。現実はそんなに恰好よくないですよ。

 

どんなに辛くても戦い続けないとなりません。そうしないと引きこもりになる未来しか見えないのです。

 

もし障害をきっかけに引きこもりになってしまったら…

 

「何のために生まれて何をして喜ぶ。わからないまま終わる。そんなのは嫌だ。」

 

これ、アンパンマンの歌ですけどね。この状態になってしまうのです。これだけは避けたい。

 

高次脳機能障害者の敵は二つ

私が勝手に考えていることですけどね。以上から高次脳機能障害になった私の敵って二種類いるんですね。

 

「周囲からの低い評価」と「心が折れそうになる自分」

 

その結果どんどん自己肯定感が下がります。下がっています。

 

でも何とか復帰したいから頑張っています。出来ることからコツコツと積み上げ直そうとしています。

 

障害を負ってから2年と8か月たった今の私はそんな状況ですね。

 

常に戦い続けてきた気がします。心が休まった日はあったのだろうか?って思います。

 

少なくとも病前のような自信に満ち溢れていた毎日は送ってはいません。人の目を気にして自分を出せずにいる。周囲に勝手に翻弄される情けない人間がここにいるだけです。

 

原因は自己肯定感が低いままだから。

 

障碍者になり失敗を繰り返した愚かな人間。という評価はなかなか覆りません。信用度ゼロ。いや信用度がマイナスになったわけですからね。

 

信用度がマイナスなのに自己評価が高かったら差が大きすぎて危険です。だからそんなもんなんだろうな。とも思いますが…。

 

でも「周囲からの低い評価」と「心が折れそうになる自分」という二つの敵は強大です。

 

以前までは「過去の自分」が強大な敵。というか乗り越える壁だったんですけれどね。

 

この変化は何か意味があるのかもしれませんが、今はまだつかめていません。

 

「また障害者としての新しいステージに突入したのだろうな。」

 

そんな風にとらえています。ステージの意味が理解できた時がステージクリアの時なのだと思います。