高次脳機能障害と意欲

意欲ってなんだろう?

 

自発的に何かをしようとするエネルギーの事かな?

 

私はどうだったかな…?

 

私、最初から意欲の塊だったかもしれない。

 

インフルエンザに罹り、サイトカインストームが発生。

 

朝から脳に異常をきたして異常行動をする私。

 

気が付けば救急車で運ばれていました。いや、ずっと気が付いている。意識がある。でも記憶が数秒も持たないため、つねに「あれ?なんだなんだ?」状態なんですよ。

 

自分で救急車に乗り込んだはずなのに「なぜ救急車に乗っているんだろう?」そう不思議がるレベル。

 

こんな状態なので、病識も何もあったものではなかった。

 

「インフルエンザで入院したけれど、退院したらすぐに溜まった仕事を片付けなくちゃ!」

 

なんて本気で考えていました。退院後に地獄を見るのですけれどね。

 

入院中の私はかなり意欲的だったと思います。

 

スグに疲れ果てて寝てしまうのですが、起きている間はノートに現状の記録をとったり、心理検査やリハビリに全力を尽くしたり。そんな感じ。

 

もしかして障害の影響で意欲が暴走していたのかもしれません。とにかく入院生活を全力でまじめに過ごそう!入院患者の手本となろう!なんて本気で考えていました。

 

だけど退院後…「もうだめだ」になるんですけどね…(涙

 

高次脳になって意欲を保ち続けるのは超きつい!

私、回復への意欲に関しては人一倍強かったと思います。

 

それでもきつかった。何度心が折れたかわかりません。

 

っていうか、回復したくて行動しまくったのが心が折れる原因だったのかもしれません。

 

とにかく失敗しまくりますからね。失敗したらその理由を考えて対策を練って再挑戦すればいいのでしょうけれど、障害があるとそれができないんですよ。

 

なぜかというと、対策を練っても対策を練った事すら忘れてしまうからです。

 

「じゃぁメモして目の前においておけばいいのでは?」

 

そう思うかもしれませんね。私もそう思いましたよ。その結果が「メモ地獄」ですよ。何が本当に必要なメモなのかが分からないのです。メモの管理ができないのです。

 

全てがこの調子なんです。

 

人に話したことも、人から聞いたことも、全部忘れます。

 

いや、忘れるだけではありません。話が混ざるのです。Aさんから聞いた話とBさんから聞いた話がごっちゃになってしまいます。日常茶飯事です。

 

それを整理するためには記録なのですが、その記録も後日読み返すと「???」となります。まともにメモが取れないのです。管理もできません。

 

毎日、毎日、これの繰り返しでした。

 

それでも回復すると信じてがんばり続けました。

 

時々心が折れます。心が折れると「自分はいない方が良い」と考え始めます。

 

今まで何度、荷物をまとめたか分かりません。

 

はっきりいって辛いです。

 

障害になったら本当にゆっくりと挑戦したほうが良い

今まで経験してきて思います。

 

障害になったら、自分を知る事が一番最初にすることなんだなって。

 

課題に挑戦するのはその次ですね。

 

じゃないと、障害を負う前の自分が基準になって行動するため、出来なくなった現実に大ショックを受けます。

 

最初はできない理由が全く分からないと思いますよ。きっと

 

「なぜできない?できるはずなのに!」

 

怖くてパニックになるかもしれません。私は何度かパニックを起こしました。どれも仕事で無理をしたときにです。

 

「やっぱりダメなんだ」「ダメになったんだ」

 

なんども心が折れました。

 

心が折れたら意欲も何もあったものではありません。

 

だから挑戦はゆっくり。です。

 

いきなり高い階段を登らない事。

 

心が折れます。登れませんから。ダメージは大きいですよ。

 

ゆっくりゆっくり挑戦していく。

 

やがて出来ることの幅が広がってくると思います。

 

脳はゆっくりと回復し続けるのですから。