「やっぱり障碍者だわ」本当に障害者なのか?と振り返った結果がつらい。

高次脳機能障害と診断を受けてから2年と6か月。主な障害は記憶障害、注意障害、遂行機能障害。

 

私の障害は上記の通りです。一応そのつもりでいます。一応と書いたのは「もう完全に良くなったんじゃない?」って思うからなんですけどね…。

 

良くなったっていうのは最近思い始めたものではありません。退院して3か月ほど経過した辺りからかなぁ?そう考えるようになったのは。

 

その頃から妻に「もう障害は良くなったよね?」って聞いていました。返答は「よくなっていないよ!」でした。

 

そのたびに思うのです「いやぁ、そんなことないよ。良くなっているよ。」って。

 

実際のところどうなのかというと、まったく良くなっていなかったです。行動が支離滅裂になるときがあったりしましたから。特に疲れがたまる夕方以降は。ちなみに受傷から2年6か月になろうという今も自覚症状があります。疲れた日は昼間の記憶が飛びます。なにも思い出せなくなります。困ったものです。

 

困らなければ障害でないというのなら、私は障碍者ではないのかも

でもね。「困ることが無ければ障害はない」という言葉を聞いたことがあるんですよ。確かにそうなのだとおもいます。やりたいことが出来ないから障害なんですよね。

 

料理人が包丁を持てない病気になったら障害でしょう。でも私が包丁を持てなくなったら…?

 

「んー別にいいか。」と考えます。何も困ることが無いからです。夕飯に刺身を出すときに切れなくなるぐらいですかね。でも妻に切ってもらえばいいしね。それに刺身なんてめったに食べませんし。やっぱり困りません。

 

私の仕事はなにかというと、パソコンでシステムを作るエンジニアです。相当の技術力を必要とします。この仕事で困りごとができたら障害が残っているのだと思いますが…

 

私、このあたりも工夫で全部カバーできています。普通にシステム開発の仕事ができていたりします。元々持っていた発想力が全く障害の影響を受けていないのが幸いしました。

 

本当に記憶障害ゆえの困りごとはないのか?掘り下げて考えてみると…

私、技術的な仕事に関する、障害に起因する困り事はほぼ100%解決していると認識しています。自分の技術力の範囲内であれば、元通りになんでも対応可能です。本当に嬉しい。

 

子供のころからコツコツと培って気が能力ですから。失いたくはありません。

 

でも、「あっ!!!!」と思うときがあるんですよ。テクニカルな事とは全く別の話でです。

 

正直、「これも記憶障害の一つなんだろうな…」って感じています。うわぁ…ですよ。

 

それは何かというと「記憶を悪い方向に変換して想起する。」という障害の現象です。障害特性とでもいうのでしょうか?

 

名付けて「記憶の誤想起」です。こんな言葉があるかどうかわかりません。私が独自に命名したものです。

 

私を危険な状態に追い込む、厄介な「記憶の誤想起」とは

「記憶の誤想起」なんてカンバンを掲げると大層な印象を受けますね。簡単に言えば「もの凄い勘違い」ってやつです。こちらはこのブログでも何度か表現していると思います。

 

私ね。この「記憶の誤想起」にだいぶ困っています。なぜかというと、気づけないんですよ間違いに。

 

なぜ間違いに気づけないのかというと「今まで長い間生きてきて、記憶の想起に失敗しまくるなんて経験をしていないから」なんですよね。

 

まさかね。自分がついさっきまで目にしていたものを間違って人に伝えるなんて夢にも思わないじゃないですか。

 

「間違いなく自分は脳内で認識している正しい情報を正しく伝えている。」

 

こういう気持ちでいるんですよ。ね。普通ですよねこんなの。

 

ところが…

 

「現実は、脳に入力した情報と別の情報を誤って伝えている。」

 

なんですよね。コレですよコレ。

 

これの厄介な所は「誤った情報をアウトプットしている本人は、正しい情報を伝えていると認識している点」なんですよね。

 

ちょっと難しく書いたかもしれません。上の話をもっと簡単に表現するとこうなります。↓

 

  • 机の上にみかんを置く。
  • みかんに箱をかぶせて見えなくする。
  • 「さぁここに何があったでしょうか?」と私に質問する。

 

すると私はこう答えます「なんかあったっけ?あった気がする…リンゴだ!!」

 

これはかなり極端な例ですが…私が疲れているときはこのくらいのレベルになっているかもしれません。そして厄介なことに「間違いなくリンゴがあった」と思い込むのです。

 

記憶障害と人との交流はさらに複雑に。良からぬ方向へ進む思考

さて、記憶障害がどんなものか。前章では物凄い勘違いと表現しました。結構大変ですよ。

 

でも、まだ序の口なんですよこれって。次はメンタルがごっそりと削られてしまう症状について説明します。

 

私の障害は「記憶の想起力がNG」というものです。凄い勘違いです。凄い勘違いは人に対してもおこります。厄介なことに悪い方向へです。

 

どういうことかというと、人との会話の内容を誤って想起してしまうのです。日常の会話ではこの現象は起こりません。人と約束事をした時に誤想起が起こるのです。

 

例えば…

 

明日は〇〇駅で仕事の打ち合わせがあると約束します。普通なら前日のうちに打ち合わせの用意を済ませます。明日の仕事に備えます。

 

ところが、記憶の想起に障害がある今の私の場合は

 

「打ち合わせの約束をした人が、とても不機嫌で態度が悪くなった!もういい!もうやめる!」

 

となってしまうときがあるのです。未だに時々あります。

 

一体どういうことなのか自分なりに振り返るとこのような条件を満たすと、変な方向に記憶を想起して怒りを誘導してしまうようです。

 

  • 仕事関係の約束である
  • 通常と異なる行動の約束をする
  • こちらから出向く必要がある
  • 文章でのやり取りが無い
  • 緊張感を伴っている

 

一言にまとめると

 

「お金が絡む関係の緊張感がある約束すると記憶想起の際に誤動作を起こす。」

 

となります。厄介なことに、この記憶の誤動作は

 

「必ず通常、現実ではありえない悪いイメージで想起される。」

 

このような結果をもたらすようです。今までの経験からパターンが見えてきました。

 

解決策は「メモを読み返す」ですが、そこに至るまでに相当私のメンタルは削られています。辛いですよ本当に。

 

だって2度傷つくんですよ。1回目は「記憶の誤作動によるストレス」2回目は「未だにこの障害が残っているのかとがっかりするストレス」この二つです。

 

辛すぎです。

 

傷つくのは自分だけではない。周りを巻き込み傷つける記憶障害

現在、私の記憶障害っぷりは上記のような部分に出ています。だいぶ状況が整理できて言語化できるようになりました。このように自分の障害を認識できているわけです。でも、またここで記憶障害ゆえの厄介な症状が顔を出すのです。

 

それは何かというと「障害の影響が出た瞬間は、記憶障害ゆえの症状・失敗を認識できない。指摘で気づいたとしても時間の経過とともに忘れてしまう。」という現象です。

 

わかるでしょうか?何を言いたいのかというと「記憶障害ゆえに、自分の障害を忘れてしまのです。」

 

例えば、妻とイオンで買い物をする約束をしたとします。「16時になったらお買い物に行こうね!」と。

 

妻は準備をするでしょう。ところが私は…その約束を忘れてしまいます。妻は驚きます。そしてガッカリします。…ここまでは記憶障害ゆえの状況です。

 

そこから時間が経過して、夕飯を作る時間になったとしましょう。

 

その時妻が言います「イオンに行く約束をしていたのに、あなたが忘れていて行けなかった!(怒」

 

この話を聞いた私はこう思います。

 

「え?イオンに行く約束なんかした?」

 

…約束を反故にされた妻はいつまでも心にわだかまりを残します。私はやらかした事実を忘れているため、全くわだかまりがありません。それどころか、「なぜ機嫌が悪いの?」と疑問に感じる有様です。

 

障害になりたての頃は、妻は頻繁に怒ったりガッカリしていました。でも今はあきらめたのか

 

「しょうがないね。忘れちゃうんだものね。」

 

という反応を示すようになりました。(実際にそう口にしてきま)

 

もう私との約束は期待しなくなったのだと思います。でも再び約束をして繰り返すのですが…。

 

悲しいですが仕方がないです。辛いです。ミスを減らす努力は重ねていますが、ミスはどうしても出ます。やっぱり障碍者なんです。私。

 

「障害を言い訳にするな」と思う人もいるでしょう。わかります。イライラしますよね。

 

対策は散々練っています。散々実行しています。それでも漏れが出てしまうのです。障害特性ゆえのミスをするのです。

 

どうしても自分の努力ではカバーできない部分が生じる。通常ではありえない不整合が生じる。

 

「やっぱり私は障害者なのだ」

 

そう落ち込む瞬間です。何度心を削られたか…。

 

悔しいですよ。